税務会計ニュース
- 損益計算書の「4つの利益」の違いは?
すべて「利益」だけれど、それぞれ意味は違います
決算書などで用いられる「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「純利益」ですが、この4つの利益の意味を正確に説明できますでしょうか?
会社の状態を読み解く上で重要なポイントでもあるので、この機会におさらいしてみましょう。
売上総利益について
売上総利益は、売上から売上原価を引いたいわゆる「粗利=付加価値」です。
製造業の場合、売上原価に製造原価が含まれるため正確な「粗利=付加価値」とは言えませんが、この売上総利益「率」がわかっていると、事業に係る1か月の販売費や一般管理費は概ね一定ですから、損益分岐点売上高の概算がつかめます。
営業利益について
営業利益は、会社が本業で稼いだ利益です。
売上総利益から、販売費及び一般管理費(固定費)を差し引いた額です。
営業利益の金額が支払利息の金額より低い場合、銀行評価が悪くなります。
経常利益について
経常利益は、会社が事業全体から「経常的」に得る利益です。
財務活動など本業以外の収益や費用を反映させますから、例えば借入金が多く利息の支払いの負担が大きい場合は、営業利益に比べると経常利益は小さくなります。
経常利益を把握することによって、借入金の返済可能年数を計算することができます。
返済可能年数を10年以内(できれば7年以内)に抑えることで、銀行評価は良くなります。
当期純利益について
当期純純利益は、経常利益から通常発生しない例外的な「特別収益」や「特別損失」を加減算して計算されます。
また、税金控除前を「税引当期前純利益」、税金控除後を「税引後当期純利益」と呼び、1年間のすべての収益から全ての費用・損失を差し引いて算出する利益となります。
この当期純利益が「繰越利益剰余金」として、貸借対照表の自己資本に加算されます。
利益を比較して会社の状態を把握しましょう
当期純利益=最終的に企業に残る利益のため、一番重要なのは純利益に見えますが、特別収益や特別損失といった、継続的な事業には関係のない例外的な損益が加味されているため、企業の経常的な業績を判断する指標としてはふさわしくありません。
経常利益は、会社の資産運用益や借入金の利息なども加味されることになるため、事業全体に関する数字を見ることができ、会社の正常な収益力(≒返済能力)がどのくらいなのかを判断するのにふさわしい数字となります。
また、損益計算書には記載されていませんが「限界利益」を把握することも非常に大事です。
限界利益は売上高から変動費を差引いた残額です。
まず、4つの利益の意味を把握し、さらに変動費と固定費の区分をハッキリすることで、貴社の状況を把握できることになります。