税務会計ニュース

所得拡大促進税制の拡充 ~控除税額が増加しました~
 

 

 
経所得拡大促進税制って何ですか?

 「所得拡大促進税制」とは、わかりやすくいうと「社員の給与をアップすると、
税金の控除を受けられるかも!」という制度です。


 この制度は、アベノミクス“第3の矢”である『民間投資を喚起させる成長戦略』に関連した税制として、平成25年度税制改正で新しく創設されたものですが、平成29年度税制改正で要件が一部改正されました。


 まず今回の改正前の要件を簡単にご説明すると次の通りです。


【要件】

① 従業員給与の増加割合が一定の増加促進割合以上になっていること
(給与総額が基準年度から一定割合以上増えていること)

② 雇用者給与等支給額 ≧ 比較雇用者給与等支給額
(給与総額が前事業年度を上回っていること)

③ 平均給与等支給額 > 比較平均給与等支給額
(一人あたりの平均給与が前事業年度を上回っていること)


 これらの要件を全て満たした場合、雇用者給与等支給増加額の一定割合を法人税額または所得税額から控除できます。



今回の改正は?

 平成29年度税制改正では、上記要件③が変更になっています。

 具体的には、「中小企業」の場合、賃上げ率が前年度比2%以上であれば前年度からの増加分は22%の税額控除ができるとともに、2%未満であっても今までの10%税額控除が維持されています。

 つまり、要件に該当した場合の控除税額が「大幅に」増えています。

 うまく活用するチャンスですね。


 他方、「大企業」の場合、賃上げ率が前年度比2%以上であれば12%の税額控除はできるが、2%未満であれば税額控除は一切できないこととなりました。

 つまり、「大企業」にとっては要件が厳しくなりましたね…。



その他のポイントは?

○ 対象は青色申告をされている個人事業主から大企業まで、業種制限もなし

○ 平成29年度(平成30年3月末までに開始する事業年度)が適用できるラストチャンス(今年度利用ができなくても、来年度は利用ができる可能性あり)

○ 事前申請は一切必要なし



◆当税制の内容は以下のサイトでご確認ください

経済産業省:「パンフレット「所得拡大促進税制ご利用ガイドブック」(平成29年4月以降に始まる事業年度から)